中国最新ニュース | 矢野経済信息諮詢(上海)有限公司

[中国における街の仕立て屋、スーツカスタムメイド市場]

 

前世紀末から、北京、上海など中国の大都市では大都市“高级定制(カスタムメード)”を看板にかかげる仕立て屋や誂え店が続々と街中に登場していた。

すでに80年代の比較的早い段階に、洋服の裁縫店はそこかしこ、どこにでもあった。90年代に入ると、ブティックやデパートという服装流通の潮流に押され、中国で既製服メーカーやショップチェーンが急速な発展をとげるのと反比例で、街中の洋服誂え店は衰退の一途をたどった。しかしながら、このファッションの大量消費時代の体験を経て磨かれたファッション感覚を身につけるに至った中国の、違いの分かる消費者たち。殊に「80後」の若年消費リーダー群にとって、「お誂え」の贅沢は究極の個性の体現につながり、今後更に隆盛してゆく余地は十分にある。オーダーメードの業界も更なる価格競争にさらされ、消費者がより身近に感じられるリーズナブルな価格レベルに落ち着くと見られる。

社会の潮流の変化は、古いものがすたれ、新しいものが普及するという公式ばかりでなく、潮目が変わって、突然古いものに脚光があたり、急激に上昇復活してくることもある。街中の裁縫店、誂え店は、現代の消費者のスタイル多様化と個性化をうまくつかんでふたたび隆盛していくその兆しは既にある。

「China Brand News 2011 AUTUMN」(2011年9月発刊)より抜粋