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[~活気ある街づくりに成功『崇文門駅周辺商業施設』 ]

 

崇文門駅周辺は清朝末期~中華民國時代にはすでに北京を代表する商圏として成熟していた。1990年代末期から今世紀初頭にかけての間断なき再開発で「胡同(フートン)」と呼ばれる明清時代から続く伝統的な路地が取り壊され、一帯は大規模マンション群に生まれ変わった。だが、いったん消滅した「花市大街」や「興隆街」などの古い商店街も再開発プランに組み込まれて復活。新たに賑わいを取り戻している。2007年の地下鉄5号線開通で、崇文門駅が乗換駅になったこともあり、昼・夜間人口ともに今なお増加中。「北京駅」、「天安門」、「故宮博物院」、「王府井大街」、「天壇公園」といった北京名所や、「北京同仁醫院」、「北京醫院」といった名門病院から至近なこともあって、外来人口も比較的多い。

崇文門には、1998年に開業した「新世界百貨Ⅰ期」を皮切りに、10年足らずで「新世界百貨Ⅱ期」、「捜秀城」、「新世界百貨Ⅱ期 寶鼎店」、「國瑞購物中心(國瑞MALL)」などの大規模商業施設が建ち並ぶようになった。「樂天超市(ロッテ・マート)」や「順天府超市」といったスーパー、菜市場と呼ばれる自由青果市場、シネコンも充実し、若者が「ハレ」の場としてデートやショッピングを楽しむエリアと、地元人民の日用に供する商店街がうまく共存した、活気ある街づくりに成功している。

今後、注目されるのは、崇文門交差点の東南角に面した「哈德門飯店跡」と、2010年に移転した「崇文門菜市場跡」の再開発。どちらも具体的なプランと着工日が定まっておらず、2年以上にわたって広大な更地を晒したままだが、前者には高級ホテルや高級北京料理店などが入居するラグジュアリィ志向のビルに、後者にはフィナンシャル関係のオフィスビルになることが取り沙汰されている。若者の流行発信スポットと庶民的な商店街が絶妙にブレンドされた街・崇文門で強気な高級路線が受け入れられるかどうかは、目下、未知数と言うほか無い。また、崇文門駅と北京駅の中間に20世紀初頭、宣教師住宅として建てられた稀少な洋館群が残されているが、現在、リニューアル工事が進められており、レストランなどの商業施設に生まれ変わる予定。さらに2014年12月には、崇文門商圏の南端に沿って地下鉄10号線が開通を予定している。既存の2号線、5号線に続き3路線が交わる交通の要としても、崇文門は動きを増しつつある。

「China Brand News 2012 AUTUMN」(2012年9月発刊)より抜粋