空気汚染が上海に波及 経済への影響は…?

 

 これまで北京を中心とした華北エリアで広がっていたPM2.5。2013年12月に入り、上海を中心とする江南地方にまで広がっている。12月5日には江蘇省の中心都市である南京市では学校が休校。また航空便も欠航するなどの措置がとられるまでになった。

 12月6日には、上海市で空気汚染指数の最大値に設定されていた「500」を突破し、町全体が白い霧に覆われたような姿に変わった。

平日であることから街の人通りは変わっていないが、多くの通行者がマスクをかけている姿が多く、中には外国製の専用マスクなどを使用している上海人もいた。

 また、ある小さな子供を持つ主婦は「子供を外に連れて行けない。本当は外で遊ばせてあげたいのだけれど…」と語り、子供への健康被害を心配していた。

ちなみに、中国のE-コマース最大手の淘宝では、12月に入ってからの7日間で、「口罩(マスク)」の検索率が11月から27パーセントの上昇、昨年同時期と比べると159パーセントのアップとなっている。またその成約率に関しては11月に比べ34パーセント、昨年同時期に比べると、なんと3.5倍になっているという。

 さらには「一口でもきれいな空気を」と、空気清浄機を買い求める消費者も急増。中国の空気清浄機は安いもので1,000元程度。高いものでは8,000元や1万元を超えるものもあるが、人気のブランドはすべての機種が品切れ状態だという。

ただ、空気清浄機でPM2.5を除去できるかに関しては「確たる論拠がなく、また業界においても統一化された基準がないため、どこまで有効かは未知数としかいえない」(業界関係者)のが実情である。

 この天気がいつまで続くのか、そして経済への悪影響があるか否かに関しては。見通しが立っていない。これまでは北の状況をどこか「対岸の火」として見てきた上海だが、ここに来て「わが身の事」に。街全体が今後の状況を静かに見つめている。

  

(写真:12月6日13:00に矢野経済信息諮詢(上海)有限公司オフィスより撮影)